懐炉対決、充電池式対ハクキン(使い捨てないカイロを使う第2弾)
「使い捨てないカイロを使う」ネタの第2弾です。
当ブログのアクセス履歴を見ますと、時々「使い捨てないカイロ」の検索結果で来る人がいらっしゃいます。なにかと思っていましたら……どうやら「充電池式カイロ」を探している模様。でも、「それ」自体は私も気になりましたけど、その時点では入手不可能でしたので……そのままに。
で。ようやく入手が可能になりましたので、ここで紹介……するだけでは面白くありません、また基本的に「ハクキン至上主義」(?)の私としてはそのまま紹介するのもちょっとシャク。なのでここで、「使い捨てないカイロ」同士で対決させることにしました。
まぁ「対決」とは銘打っていますけど、実際にはそれぞれの利点を明確にして「どう使い分けるか」と言った処で落ち着くのでしょうけどね。
選手紹介:
まずは挑戦者の紹介から。
【充電池式カイロ】
SANYO 「eneloop kairo」 充電池式内蔵カイロ KIR-S1
寸法(カイロ本体): 84×62×19mm 質量:約85g
価格: ¥ 3,980 (税込)
特徴:( Amazon.co.jp 商品紹介 より抜粋 )
・充電して繰り返し使える「使い捨てないカイロ」。
・使いたい時だけ使える「ON-OFFスイッチ」付
・PTCヒーターとマイコン制御により高精度な温度制御を実現
・表面温度:<弱モード>約41℃ <強モード>約43℃
・持続時間:<弱モード>約6時間<強モード>約5時間
・充電時間:約5時間(付属の専用ACアダプター使用)
利点:
充電池式なのでチャージが容易
電池式なので途中で止めることが可能
温度調整も可能(ただし2段階)
弱点:
温度低い(※わざと熱量が一定以上上がらなくしてる模様)
片面しか暖かくならない
充電時間が必要(6時間)
充電池交換不可
充電池の利用耐用回数が500回となっている
スペックを見ての感想:
エネループブランドを冠しているということで再利用可能という事が前提なのでしょうけど、充電池を単三型などにして欲しかったです。それならば電池切れの際に予備の充電池投入ということも出来ますし、最悪「普通の単三電池」を現地調達しての即再使用も可能になりますから。
実際の使用で上記のような時間切れが起きるかと言えば、持続時間が「6時間」は微妙とは思います。自分の行動で言えばこういう物を使うのはサッカー観戦の際になりますが、その場合「試合2時間」+入場からの待ち時間2時間それにスタジアムまでの片道が1時間を越えることは普通に有りますから。
※移動中はコマメに電源を落とせば良いのでしょうけど。
ちなみに重さを量ってみました。(この秤も今回用意しました、川崎ダイスの東急ハンズでw)
77.5g。公表重量より10g軽いですけど、理由は不明です。誤差の範囲内?
さて次はチャンピオン、カイロ界最強「プラチナの王」登場です。
【ハクキンカイロ(ベンジン式)】
ハクキンカイロPEACOCK PLATINUM
寸法(カイロ本体): 101×68×15mm 質量:
価格: 2970円(税込)
ハクキンベンジン(500cc:480時間分相当)インターネット価格 558円(税込)
(2012/12追記:「ハクキンカイロ3Rプラチナム」は生産終了しました。現在入手可能なのは「ハクキンカイロ PEACOCK」です。)
前回の「使い捨てないカイロを使う」ネタの際に購入した「ハクキンカイロ3Rプラチナム」と同じ物ですが、商品名が変わったようです(箱と、フリース製の袋のデザインも変わっていました)。
特徴:( ハクキンカイロ公式サイトより抜粋 )
・発熱温度は使い捨てカイロの約13倍。
わずか25ccのべンジンで最大約24時間保温できる低燃費です。発熱温度も一定していますので、寒冷地や冬の野外のレジャー時に、非常に威力を発揮します。
・ベンジンを注油して使用するので、繰り返し使用”できる環境に優しいカイロです。長期間ご使用いただけるロングライフ製品です。さらにすべての交換部品を取り揃えており、メンテナンスは抜群です。
・ハクキンカイロは直接オイルを燃やすのではなく、気化したオイルがプラチナの触媒作用で酸化発熱する化学カイロです。クリーンかつ経済的な触媒燃焼は、空気も汚さず、ゴミの発生もない環境に調和した技術です。
利点:
火力が強力
利用時間が長い(12時間~24時間使用可能)
ベンジン投入及び点火で即使用可能。
利用耐用回数は特になし(火口はシーズン毎の交換推奨)、また部品交換も容易。
弱点:
ベンジンを使用するため取り扱いに注意が必要
途中で利用中止が困難
飛行機は持ち込み不可
スペックを見ての感想:
個人的にはいうまでもなくこっちの勝ち。ベンジンを1カップ分投入しておけば12時間熱を保持しますし、もっと時間が掛かるならもっと入れればいい。雪中行軍をするのでもなければカイロが24時間以上連続で必要となることもないでしょうし。
で終わってもなんですので、ハクキンの難点を上げてみます。実は「飛行機は持ち込み不可」は、自分としては結構重大だったりします。私の場合サッカー観戦での移動で飛行機を使うことも有るのですけど、そういう時にハクキンカイロは持ち込めないということですから。
※ベンジンは「ライター用燃料」に相当します。ベンジンを染み込ませた綿を含むということで、爆発物に加工できるから駄目、という理由なのかどうかは知らないけどそういう事みたい。
※最終手段として、カイロ本体から綿を取り出し、未使用の交換綿を別に用意して預け入れ現地で綿を詰めベンジンは一番入手が容易なジッポのオイルを利用する……という手はあります。ただ私的にはこれは余り現実的ではないとも思いますけども。
こちらも重さを量ってみました。
72.5g。見た目の大きさに比べて、ハクキンの方が軽いのですね。
……で終わらせるつもりでしたけど後で気がつきました、コレ空重量だわ……
というわけで、ベンジンを1/2カップ投入した上で再計量。
75.5gになりました。ベンジンの比重は0.7位なので約4.3ccほど。1/2カップは約6ccなので、まぁ「目分量にも程がある」と言ったところでしょうか。
対決前哨戦:ランニングコストは?
本番の対決の前に、まず道具としては一番重要な「ランニングコスト」で戦わせてみましょう。
充電池式:
充電時間は5時間として、この際に掛かる電気代から1回の使用コストを算出します。
電気代は三段階に別れているが、第3段階まで行ってると仮定して21円25銭=1kwhなので……0.02125円=1wh
充電池式カイロの充電器は8VAであるが、充電器の力率を100%と仮定してしまえば 8VA × 1.0 = 8W
これが5時間では 0.02125円 × 8W × 5h = 0.85円
かなりおおざっぱな計算ですけど、1回の充電で1円行かないことは確かでしょう。
ハクキン:
こちらはベンジンの値段で算出します。
ハクキン純正ベンジンが500ccで558円(インターネット通販価格税込み)
また、ハクキンHPの記述に依れば「25ccで24時間使用可能」
つまり約1.042cc/時間利用可能で、1cc = 約1.116円
充電池式に併せて「6時間使用」とすると、
1.042cc × 6h = 6.252cc
6.252cc × 1.116円 = 約6.978円
燃料費のみのランニングコストとしては、充電池式のほうが圧倒的に安いです。
尤も、これで本体の使用回数が充電池式は500回に対して、ハクキンのほうは耐用使用回数に制限はありませんから(※ハクキンHPの記述では、「性能維持のために」として火口のシーズン毎の交換を推奨)この辺まで加味すると実際のランニングコストがどうなるかは判りません。
とはいえ、北国の人でしたら冬季間毎日使うこともあるでしょうから耐用回数に意味が出てくるかも知れませんが、関東者の私にはそこまで使う機会は無いので、ここまで厳密にランニングコストを考える必要があるかといえば。
→実際私の場合ハクキンカイロも、2年前に買ったベンジン1本をまだ使い切ってない。
カイロ本体は2個に増えていますけどね。
対決3本勝負:

ではメインエベントです。ここでは「KAIRO-1統一ルール」として、以下の条件を設定しその条件で対決させます。
条件その1:
想定保温持続時間約5時間という条件で行う。そのためのそれぞれの設定は以下。
・充電池式:フル充電で温度設定は“強”
・ハクキン:純正ベンジン1/2カップ(約6cc)

※ハクキンカイロについては今回は*充電池式カイロとの比較のため*、想定保温持続時間6時間に合わせたベンジン投入量とします。(1/2カップ=最大投入可能量の1/4) このため、この実験での「保温持続時間」の比較には意味がないことを先に明示しておきます。
温度経過については、せっかくコンピュータも有りますし、ここは一つ自動的に温度変化を記録してくれるデジタル温度計を購入して計測を行いましょう。
http://search.nifty.com/cgi-bin/search.cgi?Text=%89%B7%93x%8BL%98%5E%8Cv
“温度記録計”で検索
http://search.nifty.com/cgi-bin/search.cgi?Text=%B2%B9%C5%D9%A5%ED%A5%AC%A1%BC
“温度ロガー”で検索
……高い。要するに業務用温度計しか見つからない。温度の変化を逐一気にする一般の人は居ない、ということでしょうか?
値段的に問題なければ↓が使ってみたかった。
サーモクロンGタイプ
しかたないので、代替案を考えます。もちろんコストはできるだけ低く抑えたい。可能ならばいままでの手持ちの器材をつかって、温度変化を記録したい。
・
・・
・・・!
閃きました。
永久ゴマの際に使用した(かつ、その後活用もせず机の下で埃をかぶっていた)USBカメラの再登場です。

これを使い、今回も「インターバル撮影」で温度計の値を記録し続け、後でその値を手作業でデータ化する。これならば追加コストは「温度計」購入分だけです。


もっとも、川崎ダイスのハンズで温度計を探した結果(できるだけ大きなデジタル表示、かつ表面温度が測定できるプローブ付き)同じ温度計を2個買うことに。
それぞれ2chの温度測定が出来、うちひとつは吸盤付きのプローブで計測場所を特定できます。なので室温との温度差も明確になります。
条件その2:
袋などに入れず露出した形で、同一機種の温度計により表面温度を計測する。
約6時間測定し、共に表面温度が室温と同等になった処で計測を終了。ベンジンの再投入、また充電をおこない計測を繰り返す。
温度持続時間については、温度が安定してから、温度が下がり始めるまでとする。
※温度計は吸盤で張り付けるが、温度測定端子自体は吸盤に着いておりカイロの表面の温度を直接測定していない、そのため表面温度よりは温度が下がる。また実際の使用時ではソフトケースに収納した上で服の内側などに入れるが、今回の測定では*むき出し*のため、ヒートリークも大きく実使用より過酷な状況になっており、通常の使用時よりも温度持続時間が短くなっている。

これらの条件で5度計測を繰り返しました。
(ただし1回目と2回目は計測失敗のため、計測結果としては3回目~5回目の3回を参照します)
対決結果発表:
さて、結果です。
今回はデータをエクセルでグラフ化しました。青実線がハクキン、赤線◆ポイント付が充電池式の温度。水色実線と紫線◆ポイント付はそれぞれの温度計での室温を示しています。 さらにそれぞれの持続時間、平均温度、最高温度を抜き出しました。

3回目
充電池式-時間 17:45-23:05 5時間20分
充電池式-平均 30.720
充電池式-最高 32.900
ハクキン-時間 17:35-21:50 4時間15分
ハクキン-平均 34.922
ハクキン-最高 37.300

4回目
充電池式-時間 07:15-12:30 5時間15分
充電池式-平均 29.688
充電池式-最高 30.400
ハクキン-時間 07:15-12:40 5時間25分
ハクキン-平均 35.903
ハクキン-最高 38.300

5回目
充電池式-時間 05:15-10:40 5時間25分
充電池式-平均 30.373
充電池式-最高 31.100
ハクキン-時間 05:15-09:55 5時間25分
ハクキン-平均 36.264
ハクキン-最高 38.400
いちおう計測中の様子を動画にして以下に。

(クリックでポップアップします。gif動画/320x240/25秒/2.9Mbyte )
……いえ、「永久ゴマ」の時と違って今回は数字が動いているだけなので見てもちっとも面白くありませんけどね(^ ^;)
まずまとめるとこうなります。
・充電池式は30℃を5時間強保持。
・ハクキンは35℃を5時間強保持。(ベンジン1/2カップ)
以降は考察です。
充電池式に関しては『持続時間が5時間20分程度、平均温度は30度』と結果が安定しています。実験回数を重ねている毎に持続時間が延びていますけども、充電池が慣れてきているのかどうかは判りません。
ハクキンに関しては、持続時間についてはベンジンの量に依存しますし、実際ベンジン投入の際は目分量でやってしまいましたからここでは考察しません。3回目が4時間強で終わってしまったのは、単純にベンジンの投入量が少なかったということでしょう。なお平均温度は35℃、最高温度は38℃と、電池式(平均30℃、最高33℃)より高いです。
後グラフ化して面白いと思ったのは温度が下がり始めて以降。充電池式では概ね室温までで下げ止まるのですが、ハクキンは室温以上に温度が下がっています。これはハクキンカイロが全面金属製ということで、暖まりやすい以上に冷えやすいということでしょうか。
保温継続時間(ハクキンは最大2カップまでベンジンを投入できる)と熱量、また現地でベンジンを再投入のうえ再点火という動作が即座に行えるという点ではハクキンの勝ちです。(ベンジンの携行は微妙に面倒ですけど)
充電池式の利点としては、ケーブル接続だけで充電できる手軽さと、途中で発熱を止めることが容易なこと。そして飛行機内に持ち込みが可能と言うことですね。
充電池式の使用感:

最後に使用感の比較ということで、ここ数日は「充電池式」カイロを使ってみました。
等々力ナイトゲームと代表戦@横国です。実際使ってみてみますと、スペック上温度がハクキンより低めと言っても、実際に使う分にはそれほど気にはならなかったです。
……まぁもう3月ということで、それが気になるほど温度が低いわけではなかったということかも知れませんけども。なんや言っても、充電池式はケーブルつないで充電しておけば使えるわけですし、手軽ということでは確かです。また途中で発熱を切ることも可能ですから、小まめな温度調節ができるのも良いですね。
ただ……指先が冷えたときなど、合掌状態で両指をまとめて温めるという際になって、充電池式カイロは「片面しか発熱しない」という問題にぶつかってしまいましたけど。
今後改良する際には、両面発熱するモデルもお願いします。
という訳で、まぁ「対決」とは銘打っていますけど、実際にはそれぞれの利点を明確にた処で、私の場合は「とにかく温度と保持時間が重要、かつ飛行機には乗らない」時はハクキン、それよりも「手軽に暖を取りたい、保持時間もそれ程要らない」という時は充電池式というように使い分けることになりそうです。はい、これで今回のネタも落ち着くところに落ち着いたということで。
一つだけ残念なことは……もっと寒い内に記事をまとめたかったです、それだけ。
ではまた来年の冬に、第3弾をお楽しみに(^ ^) いえ今の処は何もネタを考えていませんけど。
この項ここまで。
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