2007年小猪の旅(2007:A Porcellino Odyssey)
◆“序曲”OVERTURE
これは筆者が2007年に、「猪」を求めて日本中をさ迷った記録である。
2006年12月。2007年の年賀状用にネタを探していた私は、何の気なしに検索して出てきた「猪像」に目が止まったのですよ、これが。曰くそれは「イル・ポルチェリーノ」、フィレンツェのメルカト・ヌーボー(新市場)に置かれている幸せのシンボルといわれている像だそうです。
とは言ってももちろん、そのためにフレンツェまでには行けません、行けませんがな……とは思ったのですけど。しかくよく調べてみると、実は同形の像は日本にもレプリカが何体か存在しているということも判りました。というか、最初当たった資料では「レプリカは3体」となっていましたのに、検索すればするだけ増える一方。最終的に日本国内で見つかったのは以下の7カ所です。これが全てか……は判りませんけども、この場ではこれで全部とします。
1. ホテル・ザ・マンハッタン@幕張
2. ポルチェリーノカフェ@三宮
3. 北野のうろこの家@神戸
4. 京都ホテルオークラ@京都
5. ピジョン(会社)@東京
6. 東京駅八重洲南口@東京
7. 尾道の病院@尾道
結局、
07年の年賀状については幕張で写真撮影を行い、それをもとに年賀状作成を行いました。というわけでこの件終了……。
で終わらせても良かったのですが。ただせっかく調べたのだからには、分かった範囲だけでもこの猪たちを一通り見て回ろうと考えて「しまった」のでした。
尤もそう言っても、上記7体だけにしても範囲が広いですし、こっちもお金が一杯あるわけでもないので「このためだけ」にあちこちには行けません。なので初めから、基本的には別の理由で……その大半というか殆どはサッカー関係ですけど……近くに行った際に猪も見てくる、という形式を取りました。その結果、目標を完遂するまでにはまる1年かかってしまい、記事にまとめるに至った時にはすでに亥年を通り過ぎて子年になってしまったのですけれども。構想から15カ月に渡った超大作です、大半待ち時間ですけど。
といった処でよろしいでしょうか、では『これは筆者が2007年に、「猪」を求めて日本中をさ迷った記録である』の始まりです。
◆「新年の夜明け」THE DAWN OF NEW YEAR
1.ホテル・ザ・マンハッタン@幕張
2006年12月29日13時、幕張駅に到着。寒かったような気はしますけど、もはや1年以上前のことですから。
それは兎も角、まず最初の目的地はここです。京葉線海浜幕張駅から南口の方へ、数分歩いた処。
幕張に在るホテル「ホテル・ザ・マンハッタン」です。
最初は正面から入って探してみたのですけど、実際には裏門と言った方が近い場所に在りました。
ポルチェリーノです。
銘板の説明書きに寄れば、
「この魅力的なブロンズ製いのしし像は、1925~30年頃フィレンツェの有名な彫刻家ピエトロ・タッカ<1577-1640>によって3体だけ制作され、その一つはフィレンツェ市のメルカト・ヌォヴォー新市場ーの広場に置いてあります」云々。
見ての通りの、堂々としたいのしし像です。以下、同じいのしし像が姿もほぼ変えず場所だけ変えて何度も続きます。
ともあれ、まずは幕張にて。今日のすかーさま、その1。
◆「ポルチェリーノ探査計画」PORCELLINO MISSION : 2 MONTHS LATER
日は少し進んで、2007年3月11日朝7時半。
この日は2007年J1第02節神戸-川崎戦がホームズスタジアム(神戸ウィングスタジアム)で行われましたので、その試合を見るために夜行バスで神戸まで来ていました。そして夜行バスが着いた早朝からポルチェリーノ探索の第2フェイズが始まったのです。
神戸には2体のポルチェリーノが居ました。
2.ポルチェリーノカフェ@三宮
三ノ宮駅を北口に出て、阪急神戸線に沿って西へ。しばらく進んだその線路下に。
ポルチェリーノです。
ここは、その名もズバリの「ポルチェリーノカフェ」のシンボルとして鎮座しておられました。
ちなみにホテル・ザ・マンハッタンの像にも同様の銘板が付けられていましたが、「鼻を撫でて、舌にコインをのせ、すべらして下穴にはいると、願いがかなうとイタリアフィレンツェでは、言い伝えられて居ます」だそうです……いやまてよ。
ホテル・ザ・マンハッタンでは、猪の足元の「くぼみ」には小石が敷き詰められて居ましたが、ここでは鼻先直下には穴が穿かれています。
そして口元からは水が。要するに下の穴は排水溝ですね。実際この像の基本は「噴水」ということです。猪の口から涎がだらだらと。
なおサイズについては全部同じ大きさでした。
それと朝早すぎたので、このカフェ自体はまだ開いてなかった。これは残念。
三ノ宮にて、今日のすかーさま、その2。
3. 北野のうろこの家@神戸
さてすぐにこの日の次の目的地へ。細い路地の坂を上っていくと……
見目麗しい羊羹が。いや洋館が。「北野のうろこの家の庭」です。
その前庭に。
ポルチェリーノです。
ここの場合、足元の穴には全面水が張られていました。場所、水も吹くでしょう。
やはりここでも、「猪の鼻を撫でると幸運に恵まれる」となっています。そういうものなのでしょうね。
だからここも(他でも)触られまくりなのか、鼻先はテカってます。
ちなみにここの場合、前庭のまんなかに位置していますので
他ではけっこう見にくい背後の姿もばっちりです。
見ての通りで、このいのしし像は足元の地面も四角く造られています。が、この後そうでは無いものも現れます。
ここでも、今日のすかーさま、その3。
なお、うろこの家の上の階から前庭を見下ろすとこの通りでした。
◆“休憩”INTERMISSION
4. 京都ホテルオークラ@京都
さらに日が変わった3回目の探索は、2007年4月7日に実施しました。見て判る通り……って、この写真で判りますか? 京都(駅)からスタートです。(この日も移動は夜行バスで
……)
京都駅から更に、地下鉄烏丸線「烏丸御池駅」で地下鉄東西線に乗り換え、「京都市役所前駅」で降りるとすぐ側に目的地は有り。
京都ホテルオークラ。
その階段を一階下りると
そこに。
ポルチェリーノです。
ここの銘板でもかかれていることは同様です。
なのでやはりというか、鼻先はテカっています。
でもここの場合はいのしし前の穴はそのまま、噴水機能もなく水も張られていない排水溝もない状態です。像そのまんまだと、こういう状態なのでしょうね。
それと、居場所が半地下と言うことで、ちょっと窮屈な感じはしましたです……。
今日のすかーさま、その4。
この日はこの後、大阪は万博記念公園まで出て脚大阪対川崎の試合を見たのでした。
その後は、夜行高速バスで東京に戻りました。
5. ピジョン(会社)@東京
で、東京に戻った4月8日、その足でそのまま東京探索編に突入です。
東京駅からJRで馬喰町へ。
その町中を歩いていると、ビルの前に唐突に。
ポルチェリーノです。
なおこのビルは、育児や介護の用品を扱っているピジョンの本社とのことです。
取り付けられた銘板(古い方)からみるに、このポルチェリーノは1975年7月に設置されたとのことです(その後本社の移転に伴いこの像も移転)。
もちろん鼻先は(以下同文)。
さらに足元の穴は、もうコインを投入すること前提で金網が掛けられ鍵も掛けられています。
なんか分かりませんが、水が溜まっているとコイン投げたくなるのかしらん?
今日のすかーさま、その5。
6. 東京駅八重洲南口@東京
さて、東京駅に戻るとさらにその地下の八重洲地下街に。
その中でも「センタースポット」という場所に。有楽町寄りの待ち合わせ空間です。
もちろん、そこの目印となっているのは……
ポルチェリーノです。
ただしここの銘板では「幸福の子豚像」となっていました。また、「このブロンズ像は、イタリヤ・フィレンツェのウフィーツィ美術館第二廊にある「猪」の大理石像を模刻したものです。」という書き方になっています。
ただ、ピエトロ・タッカの造った像自体も、元はその「大理石像を元にしている」そうですから、同じ物ではないにしろ、同じ「いのしし像」ということになります。異母兄弟ぐらいの位置と言うことか。
そういう事もあるからか、この像は猪本体だけで足元の土台までは造られていません。もちろん排水設備もありませんから水も吹きません。
それでも、鼻を撫でると……という効力自体は変わりませんし、鼻がテカっているのも変わりません。
今日のすかーさま、その6。
と言うわけで、この日はここまで。若干ふらふらしながら家に帰りました。そして寝た。
◆「尾道と無限の彼方」ONOMICHI AND BEYOND THE INFINITE
さて、
2006年12月末から2007年4月に掛けて3回の探索で、7つのうち6つまでのポルチェリーノ像参りを済ませることができました。が、残り一カ所の場所は尾道です。川崎に巣食っている身としては、尾道は簡単に行くことができる場所ではありません。実は2006年は対広島戦アウェイで広島ビッグアーチまで行きましたけど、それもその余りの遠さ(と移動の面倒くささ)に2007年は広島アウェイ行きを断念しましたくらいで。だからなおさらこの年は行く機会がありませんでした。
なので一時はここでまとめて記事にしちゃおうとも考えたのですが、結局は機会が来るのを待つことにしました。
7. 尾道の病院@尾道
結局、その時期が来たのは7ヶ月後の2007年11月25日。それも、京都は西京極での京都対仙台戦を見るのに、広島行きの飛行機経由で尾道へ行き一泊、早朝に一回りして新幹線で京都へ移動という無茶。
なお私は尾道に来たのはこれが初めてでした。まぁじっくりまわればいろいろ見るところもあったのでしょうが……ホテルを早朝に出て、7時から8時半までの1時間半ほどをこの地での徘徊に費やしました。それはそれ、
ふらふらしつつもまっすぐ目的地へ。
15分ほど歩いたところに在った病院の
その前に。
ポルチェリーノです。
もちろんここでも「鼻をなでると幸運に恵まれる」という言い伝えがある前提ですから、
もはや鼻がテカっているのは宿命です。
ここでも、前の穴には水が張られていますし、水も吹きます。本来の姿です。
今日のすかーさま、その7にしてこの一連のとりあえずの最後となります。
と言うわけで。最後だからと言うことではありませんが、ここで初めて鼻を撫でてみました。
今年こそ、幸せになれると良いな。
◆“終曲”EXIT MUSIC
・それぞれの参考URLなど。
ホテル・ザ・マンハッタン
ポルチェリーノ・カフェ
うろこの家
京都ホテルオークラ
ピジョン本社玄関前
八重洲地下街
尾道の病院前
この7体、基本的に同じ「小猪の像」なのに、どれも置かれている環境が全然違いますから、見た目の印象も違っていて面白かったです。でも、どれも鼻筋はテカっている。また、噴水にしてある場合には必ずコインが投げられている。日本人の習性なのか、それとも「そういう設定だから幸せになるんだ」と素直すぎるのが原因か。取りあえず私は、コインは投げませんでしたけどね。
さて、同じような「ポルチェリーノ」像(のレプリカ)は、本家イタリアや日本国内のみならず世界各地に在るそうです。判っただけでもパリのアンリ四世広場・マドリードのフィリップ四世広場・シドニーホスピタル前、カナダのビクトリア市にあるブッチャートガーデンなど(ミュンヘンにも在るらしい)。要するに世界中に存在するということですね。ということは日本に存在するポルチェリーノ像を一回りしたからといって、それで終わりではないでしょう。私が次に目指すのは、スターゲートを通り抜けて世界巡礼です。
……いや、行けませんがな(^ ^;)
(この項終わり)
※日本国内で他にポルチェリーノ像が在るのをご存知な方は情報をいただければ幸いです、尤も在ったと判っても行くかどうかは?(機会を作ることができれば……)
#追記:2010年04月02日、シドニーの「ポルチェリーノ」像を見てきました。→ ここ参照
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Comments
時間を大幅に遡った投稿で失礼いたします。。
日本橋にある子豚像を見てから大変興味を掻き立てられ、サイトを検索したところ、こちらに辿り着きました。
それにしても実際に確認に行かれた実行力と、分かりやすい描写力、そして愛情溢れる文面と、たいへん素晴らしい内容ですね。
そんな最中、八重洲地下街に知り合いがおりますもので子豚像について確認しましたところ、一つ新しい情報を得ましたのでお知らせ致します。(既出の情報でしたら申し訳ございません)
八重洲地下街に存在する子豚像は当地下街や東京駅の持ち物でなく、地下街に今も存在する某食品店の所有物で、そこから借り受けているそうです。
そしてそのお店と経営母体を共通する、東京麻布の「日進ワールドデリカテッセン」というスーパーには、店内2階にもう一体の子豚像が鎮座しているらしいのですが、これらはかつて三越が「イタリアフェア」的な催事を行った際に、2体の像を持って来たという説があるようですが、確実な情報ではありません。
今後は実際にお店にお邪魔して、どういう経緯で2体もの子豚像を入手されたのか、あるいは日本中に散らばる数体の像がどんな変遷を辿って存在するのか、聞いてみたいと思います。
Posted by: aruru | 2011/01/27 18:00
aruru さんこんにちは、反応遅れて済みません。
コメント有り難うございます、恐縮しています。
また新たな情報など有り難うございました、「日進ワールドデリカテッセン」は補足できていない情報でした。行ける範囲ですから、時間ほか確保でき次第探索に行きます。
有り難うございました、今後も本ブログをご愛顧いただければ幸いです。でわでわ。
Posted by: ぐんちゃ | 2011/02/10 21:36