北京で中国公安に取り囲まれてきました(北京工人体育場でのことの次第)
貴方は中国で、公安に取り囲まれたことがありますか? 私は有ります。
今回はその時の話を。
とは言っても、4月28日の事ですから、もう4ヶ月以上前のことですけども。「負け試合」だったので見直すのが辛くてここまで来てしまいましたけど、こう負けが混むと気にしてもしょうがなくなったという心境まで至りましたので、ここで。
4月28日、早朝の羽田発関空行きの便を経て、関空から3時間半ほどで北京空港に到着。入国審査など特に問題なし。
北京空港からは机場快軌(エアポートシャトル)で、途中地下鉄に乗り換えて。
1時間ほどで北京駅前に到着しました。私はこの駅近くにホテルを取っていたので(一泊3000円くらいで朝食とインターネット付き)。ホテルのチェックインを済ませて、さてここから
事前に告知されていた集合場所(ホテル)へ。
ここで説明しておきますと、これから行く場所は北京工人体育場(陸上競技場)で、行われるのはACL(アジアチャンピオンズリーグ)グループリーグ第6戦。
ACLはアジアでのサッカークラブの大会で、日本はJリーグ3位までと天皇杯1位のクラブが参加できます(2010年は鹿島、川崎、ガンバ大阪、広島)。グループリーグは4チームでホーム&アウェイの6試合が行われます。そしてここで行われる試合はその第6試合目、北京国安対川崎フロンターレ(中国語表記で「川崎前鋒」)。共にこの試合勝つとグループリーグ勝ち抜けを決めるという重要な試合でした。
ですがそれ以前に中国のホームの試合は中国側が入場に大きな制限をかけ、特にアウェイ側は一人でのこのこ行っても「入れてもらえません」。これは「国際問題となるような事件が起きることを恐れ」ていると言うことでしょうが、特にこの日は4月28日、上海万博直前に国際問題となる騒動は「絶対」起こしたくなかったことでしょう。
今回も川崎サポは事前に告知があった集合場所に集まって、そこからまとめて会場へ移動となりました。
と言うわけで、集合場所のホテル(オフィシャル応援ツアーの宿泊ホテル)にツアー外の人も集まって。
ここから用意されたバスで移動ですが
「中国の人を刺激しないように」との指示があり、移動中はカーテンを閉めることに。その上で、
パトカー先導で、バスは移動を開始しました。
ものものしい先導の割に、途中普通に間にタクシーに割り込まれたりもしましたけど。
20分ほどで、制服の方が立ち並ぶ会場に到着(手前は灰色の制服と、奥は黒の制服。後で検証します)
見ると(警備の方々の)バスがずらりと並ぶ状況。
スタジアムへの入場時にも細かい荷物チェックなどが有りましたけど、事前に言われていたほど(とにかく投げることができそうな物は全て没収で返却無し)の制限はなく、飲食類の持ち込みを止められている人が出る程度でした。それでも、中に売店はなかった物の食べ物や飲み物を売りに来る人も居ましたから、それほど難儀はなかったです。
パノラマ。スタジアム内部です。アウェイ(川崎)サポは、ゴール裏の極一部の範囲にのみ押し込まれています。
そのまわりには制服の皆様ががっちり囲っているのです。
それ以外のメインスタンド・バックスタンド、そしてホーム側ゴール裏はホーム(中国)側です。
さて向こうのホーム(中国)側にも人(黒い点)があちこちに居ることに注目してください、
実はこの時点ではアウェイ(川崎)側だけ先行しての入場で、ホーム側はまだ入場を開始していません。ゲートは固く閉ざされています。
つまりこの時点で中に居るのは中国公安の人、または警備員です。
ちなみに黒い制服は中国公安つまり警察官、灰色の制服は袖章を見るに「警備員」の模様。
各所に点々と配置されています。
そして
最前列などにズラリと並ぶ黒い背広の男達。
こうなるともちろん、これらも私服の公安の皆様なのでしょう。この辺に構えている人は「中国の人が何らかの理由で暴れるのを押さえる」のが仕事でしょうから、いかにも公安と判る制服では見た目に困るのでしょう。
アウェイ(川崎)側の200人ほどが入ってから30分後、一般入場が開始されました。
と、アウェイ(川崎)が居たゴール裏の両外側に、盾を持ったこれは明らかに機動隊の皆様が登場。
(袖章には「中国武警」の文字)
あっという間に
両側をそれぞれ50人ぐらいの盾装備の皆様に固められました。
とは言ってもこの人達はいざという事態が起きたときにアウェイの川崎サポつまり「日本人」を守るために配置されているのですから、別に恐くはありません。いざという自体には暴徒となりかねない現地中国の皆様から日本人を守るためにここに配置されているのです。
何か起きたときのことを考えると、実はこの警備員に囲まれたアウェイ側つまり日本人のエリアが一番安全になっていることは判りました。それは
廻りを取り囲んでいる警備員や中国公安が緊張で張り詰めているのに対して、この日本人エリア内に配置されていた公安は一番リラックスしているようでしたから。
ちなみに
この日この試合で動員された公安含めた警備員は総勢1万2000人!!
この時点でのスタジアムの様子は、動画でもどうぞ。
さて。ここで方向を少し変えまして。きちんと教育された中国の皆様というのか、この試合で披露された対日感情豊かな中国の皆様の「張り紙」や「段幕」などを紹介します。
これは中国語なので意味は判りませんが
これはストレートで判りやすい。
国安虐川崎なんとかかんとか。国安はホームクラブの名前です。
いやこれは、見た最初は正直吹きました。
次はパフォーマンス。川崎のマスコットはイルカということで
イルカに酷いことを
していましたのです。
これが。
その様子は動画でもどうぞ。
そのくせその側ではこういう段幕を出すのが楽しい。
ほかにもいろいろな段幕が有りましたです。まぁ大半は中国語だったので読めませんでしたけど、読めなくて良かったのでしょうね。
話を警備に戻します。
警備の人はグラウンドにも配置されていました。
三人単位なのか、三角形に各所に。
配置されていました。
追加人員も、整然と列を組んで参入。
時間が経つにつれて、一般客も増えてきました。
一般客が増えても、「最前列」はまだ目立っています。
他の場所でも。
グラウンドレベルで待つ人は、ボールが来ても気が付きません。
ちなみに「死ね死ね」の段幕はそののちに撤去されていました。
キックオフ間近になると、席もかなり埋まってきました。
でもアウェイ側ゴール裏はきっちり隔離されています。
この空間を経て、盾持った警官の集団を経て、ようやく川崎サポの領域となります。
そして正確に言うとホーム側も、このように見てはっきり判るとおりで、有る意味「隔離されて」います。
正直この状態で、アウェイ側を煽る皆様が沢山の状態だったとは言え、身の危険を感じるような局面は全くなかったです。
そして試合開始(手前側の青黒はアウェイ川崎の人)。
この日の公式入場者数は(Jリーグの発表に依れば)4万人だったそうです。いちおうチケットは前売りで「完売」ということになっていましたが、実際には「危険なので」早い段階でチケット販売を打ち切ったのでしょう。
1990年のアジア大会でメインスタジアムとして使用された北京工人体育場の現在の収容人数は6万6161人。アウェイゴール裏は隔離されていましたが、メインスタンドとバックスタンドは最終的に見た目ほぼ満席まで行ってましたので、実際にはもう少し多かったような気もします。もしかするとこの数字は警備関係者は含まれていないのかも知れません。この日配置された警備員1万2000人の半数以上が「スタジアム内」に配置されていたはずですから。
試合自体については略。川崎の敗戦で終わりました。
で、終わりかと言えば……終わりません。
ホーム側が捌けるまで、アウェイ(川崎)側はその場に留め置きとなりました。
取り敢えず試合終了直後。パノラマ。
中国の皆様は三々五々お帰りでしたが
立ち去った後はこの有り様。新聞紙を尻に敷いて、そのまま放置していった模様。そういう国なのでしょう。
試合前からこの時間まで4時間ほど。じっと待っていた皆様は
ようやく撤収しました。お疲れ様でした。
出番はありませんでした、残念ながら(川崎が勝っていたら少なからず出番があった可能性があったという意味です)。
試合終了後10分。ホーム側は概ね捌けましたけど、まだ動けません。
照明も消されてしまいました。
それでは暗すぎたのか、補助灯らしい照明だけ再点灯。
まぁホームの勝ちでしたのでたいした混乱もなく、20分ほどで
スタンドから開放されました。
外にはまだ制服の皆様が。その前を
川崎サポはバスに戻ったのでした。
とは言っても警戒状態はすぐに解かれ、帰りはそのまま帰りたい人は帰っていいという状態でしたので、そのまま歩いて帰る人も。
私はバスで集合場所に戻り、そこからホテルに戻りました。
まとめ:
普通に生活していたら、「中国で公安に取り囲まれる」なんて経験はそうはないとは思います。サッカーの応援で中国に行く事自体「普通ではない」のかも知れませんけど。
ただ中国公安に取り囲まれたと言っても、それは私達日本人を「守るため」それも中国の人から守るために取り囲んでいたのですから、実際の処は感謝はしていてもそれ以外の感想はないです。ただ一言言えば、川崎が試合に勝って、その皆様の真の姿を見ることができなかったのは残念です。次の機会が有れば、その時はぜひに。
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Comments
はじめまして!
いまさらですが、遠征お疲れ様でした!
噂には聞いていましたが、すごいダンマク&パフォーマンスですね。
これはJリーグとしてきちんと抗議してほしかったなー、と思っています。
貴重な写真のアップ、ありがとうございました。
Posted by: じゅごん | 2010/09/19 05:16