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2011/02/26

モバイルWiFiルーターは懐炉の代わりになるか?(使い捨てないカイロを使う第3弾)

 
dsc02375
 
 「使い捨てないカイロを使う」ネタの再登場です。これで3回目です。過去は以下の通り。
 
使い捨てないカイロを使う05/03/01
要約:昔ながらの「ハクキンカイロ」を使ってみた
 
懐炉対決、充電池式対ハクキン(使い捨てないカイロを使う第2弾)07/03/28
要約:充電池式カイロ(エネループカイロ)を比較してみた
 
 09年はネタがなく過ぎてしまったのですが、4年の時を経て3回目の登場です。
 
 
 寒い時期になって、通勤時には懐にエネループカイロを忍ばせる時期になりました。通勤時のみの保温のばあいは往復でもそれ程時間は長くなりませんし、勤務中は停止して置いても問題ないため、「ハクキンカイロ」ではなくエネループカイロを使っています。
 もちろん冬場のサッカー観戦はハクキンカイロを使用します。特に去年の12月の仙台アウェイではハクキンカイロを2個とも点火しました。
 
 ちなみに私は、カイロを左胸ポケットに入れています。カイロで心臓を直接温めることで暖まった血液が全身に回ることになり、体全体も暖かくなります。
 
 
 さて。先日"Galaxy Tab"を買った際に「おまけに」着いてきたモバイルルーター(厳密な話は前の記事を見てください)の話です。私はこれに"b-mobile SIM u300" を突っ込んで使っているのですが、胸ポケットに入れたところこれが「とても暖かい」、というか暑く感じる時までありました。
 判りやすく書くと「まるでエネループカイロを入れているようだ」という感覚です。
 
 おまけに付いてきたWモバイルWi-Fiルータは"HW-01C"、大きさもエネループカイロと大差ありません。そして暖かい。
 ではこのモバイルルーターは「カイロ代わりに使えるのではないか」? 
 今回はこれを数値的に検証します。
 
 
選手紹介:今回の挑戦者
 
 前回の記事のフォーマットに添って、今回の挑戦者の紹介です。
 


dsc02373
 
【モバイルWi-Fiルーター】
docomo(Huawei)「HW-01C」
寸法(本体): 95.5×49×14.1mm 質量:約80g
価格: 実質0円("Galaxy Tab"と抱き合わせ販売)
 
特徴:
・充電して繰り返し使える。
・使いたい時だけ使える「ON-OFFスイッチ」付
・Wi-Fiルーターとして使える。
 
・表面温度:不明 ← 今回の検証項目。
・持続時間:約4時間連続が可能(非純正大容量バッテリ有)
・充電時間:約 3時間(付属の専用ACアダプター使用)
 
利点:
 充電池式なのでチャージが容易 
 電池式なので途中で止めることが可能 
 充電池交換可能
 
弱点:
 片面しか暖かくならない(表面側だけ。裏面充電池側は発熱しない)
 充電時間が必要(?時間)

 温度調整は不可
 
スペックを見ての感想:
 いえこれカイロでは有りませんから。とは言ってもなぜか表面が「異様に」発熱します。
 なので利用中にカイロ代わりにはできますけど、しかしカイロがわりに発熱させて「本来のモバイルルータとして使いたいとき」に電池切れだと本末転倒になりますから、これだけで十分とはならないとは言えます。
 ただ、別売り非純正の大容量バッテリを使うと一日つけっぱなしでも大丈夫(9時間くらい使えるらしい)だそうで、こちらだと気にせず“カイロとして”使えるかも知れません。


 
 対するディフェンディングチャンピオンです。※今回使用するエネループカイロは4年前の記事の時のそれと同一ですので、経年劣化の可能性は有ります。
 

dsc02374
 
【充電池式カイロ】
SANYO 「eneloop kairo」 充電池式内蔵カイロ KIR-S1
(リンク先は現行販売されているSE1S)
寸法(カイロ本体): 84×62×19mm 質量:約85g
 
特徴:( Amazon.co.jp 商品紹介 より抜粋 )
・充電して繰り返し使える「使い捨てないカイロ」。
・使いたい時だけ使える「ON-OFFスイッチ」付
・PTCヒーターとマイコン制御により高精度な温度制御を実現
・表面温度:<弱モード>約41℃ <強モード>約43℃
・持続時間:<弱モード>約6時間<強モード>約5時間
・充電時間:約5時間(付属の専用ACアダプター使用)
 
利点:
 充電池式なのでチャージが容易    
 電池式なので途中で止めることが可能 
 温度調整も可能(ただし2段階)   
 
弱点:
 温度低い(※わざと熱量が一定以上上がらなくしてる模様)
 片面しか暖かくならない → ※その後両面発熱型も販売されている
 充電時間が必要(6時間)
 充電池交換不可

 
 
では対決です。
 ここでは「KAIRO-1特別ルール」として、以下の条件を設定しその条件で対決させます。
(前回はランニングコストも比較しましたが、今回は共に充電式ですから「ランニングコスト対決は無し」とします)
 
 
条件:
 今回は「通勤時での使用」という条件で「会社の行き帰りに使用」という前提です。
充電池式は「フル充電で温度設定は“強”」。
モバイルルータは「端末を無線で接続した状態で保持する。→接続された端末が無いと休止してしまうので」

判定方法:
 前回も温度変化の記録ができる器材をいろいろ探してみたのですが、小型でかつ温度変化を記録してデータをPCに書き出せる器材は、どれも業務用なのかこのためだけに買うには高い物ばかりだったため結局断念した経緯があります。
 しかし今回もいろいろ探した結果、今回は以下を見つけ出しました。
 
dsc02377
 
USB温度ロガー EL-USB-
(以下ホームページの記載より)
■単独で記録できる温度ロガーです。
■測定周期は10秒から2時間まで段階的に設定可能。
■PCへのデータ転送はUSBメモリのようにUSBに差し込むだけ
■グラフ表示,摂氏・華氏の表示切替ソフト付
 
 サイズ自体は大きめのUSBメモリーといった感じですが、カイロと併せてポケットに入れておく分にはそれほど影響がないと判断しました。
 
dsc02371
 
 で、早速上記サイト、なんとなく懐かしい(^ ^;)「秋月通商」に注文を出し、数日で宅配便で到着はしたのですけど。
 
dsc02372
 
 これが「日本語説明一切無し」「ドライバやソフトは8cmCD-ROM」さらには「ドライバーソフトが正常に導入できない」というダイナミックな現実に直面することになってしまいました。
 ドライバソフトについては、なんど試しても導入途中で処理がハングしてしまって再起動せざるを得無い状態に陥り、正常に組み込むことができませんでした。
 最終的には最終手段で、一度safeモードに落としてやってみたところ、これでようやく導入に成功しました。(ウィルス対策ソフトが抵抗していたのか?)これだけで1日がかり。
 
 
dsc02376
 
DSC02370
 
さて
 測定は1日二回、会社の行きと帰りの通勤時の。熱源と温度ロガーを同じポケットに入れて温度変化を計測します(どちらも単面発熱のため、温度ロガーを体側に置き発熱面を内側に向けます)。
 今回の温度ロガーは記録周期を10秒から12時間まで段階で設定できますが。今回は1分ごとに設定しました。今回使う温度ロガーは0.5度単位の計測でしたので、解像度としてはそのくらいで丁度良さそうです。
 帰宅後にログをパソコンに取り出し、データをチェック。クリアしてまた翌日同じように測定。
 これを必要回数繰り返しました。
 
A)熱源無し。    1回 → 何もない場合の温度(体温?)を比較対象として記録
1)エネループカイロ 2回
2)モバイルルーター 4回

※エネループカイロとモバイルルーターは共に出社後の勤務中は電源を切ります。

 2月7日より17日まで、それぞれA)1回、1)2回、2)4回と計測してデータをため、その数末で集計を取りました。(ただし実際にはモバイルルータは3回目の測定で失敗したため、結果は3回しか集計していません)
 
 
2月7日 熱源無し
 
nasi.jpg
 
最低温度 18.5  最高温度 29.0  温度差 10.5
 
 フリースの上着の胸ポケットに、温度ロガーを入れ、出勤。帰宅後データを取り出しました。
まずこの日は、(温度ロガーの動作検証も併せて)熱源無しでの温度変化を測定したのですが温度の変化で行動の様子が明確にわかって面白かったです。
(家を出ると温度が下がり、バスに乗ると(体温で?)温度がある程度まで上がり、バスを降りるとまた下がる……)自分の講堂が明確に判りすぎるため、時間軸方向のデータはぼかします。
 以下、エネループカイロ2回、モバイルルータ3回、計5回の計測結果を並べます。
 
 
2月8日 エネループカイロ(1回目)
 
enlp1.jpg
 
最低温度 20.0  最高温度 36.5
 
 
2月10日 エネループカイロ(2回目)
 
enlp2.jpg
 
最低温度 18.5  最高温度 37.0
 
 
2月9日 モバイルルータ(1回目)
 
moba1.jpg
 
最低温度 19.5  最高温度 34.5
 
 
2月14日 モバイルルータ(2回目)
 
moba2.jpg
 
最低温度 18.5  最高温度 32.5
 
 
2月17日 モバイルルータ(4回目)
 
moba4.jpg
 
最低温度 20.0  最高温度 36.0
 
 
matome.jg
 
 グラフをまとめるとこうなります。
 
 さて、上記グラフだけでも「有効性」を示すことはできるとは思いますけど、実測のため外気温の差も有ってこのままでは判りにくい処もあるとはお思います。
 次に、計測結果の最小値を外気温として、そこから何度まで温度が上昇したのかその「差」を見てみます。
これで「発熱量」が相対的に判ると思いましたので。
 
 
sabun.jpg
 
熱源無し 温度差 10.5
 
エネループカイロ(1)温度差 16.5
エネループカイロ(2)温度差 18.5
 
温度平均  36.75
温度差平均 17.5 
 
モバイルルータ(1) 温度差 15.0
モバイルルータ(2) 温度差 14.0
モバイルルータ(3) 温度差 16.0
 
温度平均  34.33
温度差平均 15.0 
 
 
DSC02378 
 
 念のため:カイロではなくモバイルルーターです。こっちが本当の使い方。
 

今回のまとめ:
 
 エネループカイロの発熱量は+17.5℃、モバイルルータは+15.0℃。
 エネループカイロは「強」の設定なのに、モバイルルータも遜色ない温度まで到達していて体感ではこの「2.5度の差」は感じられませんでした。
 また熱源が無い場合に比べても、モバイルルータでも+5.0℃の温度差が作られています。
通りで、モバイルルーターを胸に入れても「暖かい」訳です。
 
結論:
モバイルWi-Fiルーター HW-01C はカイロとしても十分に使える
 
 そもそも私がモバイルルータを使う際に胸ポケットに入れたら「ほんのり汗が滲むくらい暖かくなった」ということが振り出しになっていますので、「カイロとして使える」事自体は最初から判っていましたが、数字としても納得できる値が出ましたので、安心しました。
 今度もいざという時は、モバイルルータで暖を取ることにします。

 
 
付記:
 ではまたいつか、第4弾をお楽しみに。それが"2013年"なのか"2015年"なのかは判りませんが(^ ^)
 

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