「3Dショットカム」を使ってみた。
1.前置き
立体写真が流行です。
立体写真と言っても、「視差を生じさせた2枚の画像を並べた」ステレオ写真です。
「視差を生じさせた2枚の画像を並べ」て、それを覗き窓で振り分けることにより立体に見せるという技法事態は写真以前から存在していて、ステレオ写真もカメラが発明された1830年代にはすでに存在していたとか。また日本では19世紀のうちに「双眼写真」として上陸しています。以上前置きの枕終わり。
話を戻して、流行なので私も「ステレオ写真」を撮りたくなりましたが、でもその為に富士フィルムの3Dデジカメを買うほどの元気(お金)は有りません。
ですがその代わりとなりそうな『安価な』3Dカメラを探したところ。タカラトミーが「トイ」3Dカメラ、「3Dショットカム」を出していました。
(アマゾンで5000円くらい)。
ちなみに、このカメラを買う前にその仕様などの詳細を知るべくインターネットで検索してみたのですが、しかし出てくるのは「プレスリリース」をそのまま写したような(というかそのもの)頁ばかり(2011/03/07現在)で、購入のための参考になるページは全然出てきませんでした。
そのため今回の記事は、今後この「3Dショットカム」を買おうとしている人が参考になるような使用レビューになるように作成します。(販売促進につながったら、発売元のタカラトミーは私になんかください(笑))
2.構成
製品としてはブリスターパックです。
(取り置きにしたコンビニから家に帰るまでのバスの中で解体してしまいましたので、受け取った状態での写真はありません)
、本体の他には専用の紙製ビューワーが2枚、パック下部にはサンプルの写真が一枚組み込んだビューワーが展開されて仕込まれていて、ブリスターの状態でどのように「ステレオ写真」が見えるのか覗き見ることもできます。
本体はプラスチック製でいかにもおもちゃっぽく軽いです(おもちゃですから)。サイドには取っ手状に穴が開いてますから、ネックストラップなどを掛けると取り回しが良くなるでしょうね。
前面には目玉っぽくレンズが2個(ロゴがアマゾンの箱のように笑っています)。
本体上面にはシャッターボタン。
スイッチ類は、シャッターボタン以外には背後にスライド式の「電源スイッチ」のみ。
もちろんピントなんて「たいそうな」ものは有りません。フラッシュも無いので、「明るいところで撮影してください」という注意書が載っています。
ファインダーは文字通りの「覗き窓」。だってトイカメラですから。
表示は電源ランプとエラー/シャッターランプの二つのみ。電源を入れると電源ランプが点灯し、シャッターを押すとシャッターランプが点灯します。(シャッターランプはエラー表示にも使われます)表示関係はそれだけ。
液晶などは一切有りませんから、撮影した結果をその場で確認することはできません。ですから、失敗覚悟で枚数撮って後で選択するという方法で使うしかないです。
また何枚撮ったかあと何枚撮れるのかも表示されませんので判りません。まぁ後述する通りでメモリーカードを使い切るほどの撮影は困難でしょうけど、写真は都度PCなどに吸い出しておいた方が良さそうですね。
ちなみにシャッターを押してから撮影完了までに数秒の間がありましたので、高速連写もできません。
電池は単4電池が3本必要ですが添付されていませんから別途用意が必要です。通常の使い方ではこれで数百枚の写真が撮れるとはなっています。電池ボックスはねじ止めで、外での交換は考慮されてない模様。
(むしろこれは基本『オモチャ』ですから、小さいお子様が使うことも想定して「電池を取り出しにくく」しているのでしょう)
メモリーはSD形式ですがもちろんこちらも添付されていません。一応大容量メモリも使えるようですが、1Gでも数百枚以上撮れますし電池の保ちも考えると大容量にする必要性はないですね。
※写真は1枚当たり300KB位でしたから、1GBでも数百枚どころか3千枚以上撮れます。
(私は手元に余っていた2GのSDカードを入れたです。最近は4Gくらいでも1000円以下で有るようです)
もちろんusbコネクタなどありません、撮った写真は「SDメモリを取り出して」PCなどで読み取る必要が有ります。
加えて時計は入っていませんので、出力される写真のタイムスタンプは固定されています。exif情報も空です。 →さすがに時計くらいは付けて欲しかったです。とはいえ、この辺も「トイカメラらしく」徹底的にコストを削っているのでしょうね。この辺ファイル管理は面倒になりますので注意が必要です。
3.出力
買う前に私が気になったのは個別の「画像のサイズ」でした。基本はブログのネタ写真で使うためなので、それほどの画素数を期待してはなかったですけど。
このカメラでは現在のステレオ視画像の標準フォーマットとなっている「mpo」形式ではなくそのまま写真が横に並んだ「jpg」として出力されます(上の写真)。
出力されるJPEGの画像サイズは1526X1068。ステレオ写真それぞれの画像は540x404ピクセルです。
カメラの画素数は「30万画素」だそうですが、ステレオ写真自体はそれぞれ540X404=21万8160ピクセルとなりますので、実際の有効画素数はそれよりは小さいです。
ちなみにニンテンドー3DSのカメラも30万画素程度といいますから、同程度ですね。
この画像をそのまま「Lサイズで」プリント出力して切り出すと、標準のビューワーに差し込んで使えます。というかこの標準ビューワ用にLサイズで印刷するのが前提となっています。
そういう使い方ならそれでいいのですが、これをブログ用などに使うとなると「加工」が必要になります。まぁ、普通のJPEG画像ファイルなので加工はそれほど面倒ではありませんけども。
この画像をサンプルとします。(2011年3月5日 等々力競技場)
私は手持ちの画像エディタで回りの余白部分を削除(トリミング)しました。
※上下と左右の余白を切り取っています。
その上で、「ステレオフォトメーカー」というフリーソフトで読み込みます。
このソフトで、「アナグリフ方式」の「ステレオ写真」に変換しました。
その後ブログ掲載に関しては若干写真を小さくリサイズするなど加工はしていますが、それは通常時のブログ作成時とたいして変わりません。
「ステレオフォトメーカー」ではmpo形式のファイルを作成することもできますから、「3DポータルZ」への投稿も可能です。→ http://3d.nifty.com/cs/3dmitawayo/3dviewer/110312001035/1.htm
4.まとめ
結論としては、お手軽にステレオ画像を写して楽しむ分には全く問題なしです。
ブログなどで使う分には画質としては十分とは思いますが、ただ使うためには加工が必要です。
実際に使った感じでは、写真撮影時に電源スイッチ入れるだけですぐ撮影可能になりますし、ピントも無いのでシャッター押すとすぐ撮影できますが、なぜか撮影後数秒の待ち時間が発生します。(SDメモリーへの書き込み時間?)
もちろん「ズーム」なども有りません。ので、被写体が遠いともどかしいことも多々。画素数も少ないので、遠くは荒くしか写りませんし。
感覚的には「レンズ付きフィルム」的な感じで、被写体には出来るだけ近づくのがよいようです。
まぁ当座はこれを使って、ステレオ写真を写していくことにします。
5.余談
それにしても、今は3Dが流行っているという感じにはなっていますけど、やっている事は過去の「立体写真ブーム」と全く同じですね。(映画もやっている事自体は赤青アナグリフ方式の立体映画と大差有りません)
個人的な期待としては、最先端の3Dビューワーとして「ビューマスター」が売り出されるのではないかと期待しています。(mpoファイルを複数読み込ませたら自動でビューマスターリールのプリント用データを作成するソフトを添付すれば、ほら最先端です)
古えの最先端。
※これはアメリカで買ったけどいつどこでだったかは忘れた。
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Comments
初めまして。本当に参考になりました。私も買いましたので、タカラトミーから、ぜひなんかもらってください。
私の場合は「ペイント」で左右の画像を入れかえて、一般人でも見やすい交差法でHPに載せました(別記URL)。そのまま平衡法で見るには画像サイズが大きすぎるし、平衡法で見られるくらいに縮小すると(横長の画像なので)えらく小さく感じてしまいますのでね。
ところで付属のビューワー、左右の眼の間隔が離れすぎていませんか? これじゃアマンダ・セイフライドみたいなカエル顔の人でないと、うまく見えないぞ。
Posted by: 敦煌 | 2012/12/03 21:53